テーラー用語辞典
変な仕立用語
「そいつは切れ」「そいつは伸ばせ」「エーと、そいつは殺して」・・・まるで切った張ったの出入りの世界で物騒のようですけれども、仕立て用語です。他にも「ツキが出る」とか「あ、そのまんじゅう取って」とか変な言葉が飛びます。
業界はとかく、なんとも謎の言葉を多用するものですけれど、テーラー業界でも同様です。普段の更新ではなるべく業界用語を避けていますけれど、ここではそんな言葉をご紹介したく思います。まだまだ少ないですけれども、徐々に増やしていきたく思います。辞典と書いてしまいました以上、いっぱしの辞典にしてみたいと思います。
シワにまつわる言葉
つきが出る
つきじわ(月皺/突き皺)が出る事をいいます。ツキジワとは、首筋に出るシワのことです。漢字に「突き」と当てる方も見えるのですけれど、どちらが正しいのかはちょっと分かりません。私自身はずっと「月ジワ」だと思っていました。背中側の首もと周辺に出る “(” を寝かしたような形の丸いシワです。このシワは。一般的に怒り肩の方が普通の服を身につけた場合に出ます。
たなじわ(棚皺)
棚皺とは服の余裕量です。そのため多すぎれば見苦しい上に着心地が悪く、少なすぎれば腕が突っ張って前に出ません。日本ではシワ一般が嫌われたりするのですが、このシワは必要なシワです。
ただ、多すぎれば問題があるのは、やはり他のシワと同様です。この写真のシワは、写真を撮る段に少し誇張しましたけれども、適切な量になっています。
たすきじわ(襷皺)
襷掛けと同じように背中に「ハ」の字のシワが出る場合を言います。この写真では誇張してありますけれど、このシワが出る場合は体にあっていません。
だいたいの場合、普通の服を屈伸体の方が身につけた場合に出るシワです。インポートブランドの服を買った場合、日本人のほとんどの方は、多かれ少なかれこのシワが出ます。詳細はこちらをどうぞ
道具にまつわる言葉
まんじゅう (だいまん/しょうまん)
当店にはお子様連れでお見えになるお客様もしばしばあります。以前、そのようなお子様の一人がこの「まんじゅう」をいたくお気に入りのようでした。
おがくずを一杯に詰めて硬くしてあり、一抱えほど、大人の頭よりも一回り大きいほどの大きさです。まん丸いものを「だいまん(大まんじゅう)」、小さくて長いものを「しょうまん(小まんじゅう)」と言います。
これは一言で言えば、アイロン台です。服はもっぱら曲線だけで出来ていますので、アイロン台も丸くなければなりません。そこでまん丸のアイロン台というわけです。“しょうまん”はもっぱら袖の部分に使います。