2009年AWの生地傾向 本格的な伝統回帰 -Zegna
Zegna 2009 AW Amteprima
Zegnaは正規経由としては最も早く出そろう生地の一つで、進取性も強いのが特徴です。今回はZegnaに見る2009年AWの傾向につきまして。
2008年AWと極端に大きな変化はありませんが、生地の傾向としては更に色柄/品質ともに質実なもの、縫製もイタリア系統のものから英国系統のものに本格的に回帰しました。今年のZegnaから特徴的だと思われるものを何点か抜き出してみました。
縫製は基本的に昨年の秋冬と同質/同裁断(パターン)のものだと思いますが、生地の色柄など、カジュアルでは徹底的に「古き良き」イメージです。一定程度以上の年齢の方には、非常に馴染み深い印象です。
…全く関係がないのですが、私にとって一番左端のスタイルは、古い映画に出てきそうな会計士さん、真ん中は集団就職で東京へ出た兄の里帰り、右側は19世紀末から20世紀初頭を舞台にした英国映画に一人は登場しそうな若手学者さんイメージです。なぜか、今期のZegnaスタイルブックは、例年以上に物語性を強く感じてしまいますが、なぜなのでしょう。
カジュアルに対して、こちらはビジネスです。こちらも昨年と同質/同裁断(パターン)のものだと思います。非常にグレーが多くなっており。光沢ある生地は随分と少なくなりました。非常に質実な印象です。何となくではありますが、世相を反映しているような気がします。
生地傾向とは少し違うところで、今年のZegnaのスタイルブックには一点面白い特徴があり、アクセントカラーの統一が見られます。非常に暗い赤です。これは昨年にはありませんでした。また、このアクセントカラーの扱いにもちょっとした工夫があります。
全てというわけではないので一枚ずつでは気がつきにくいのですが、まとめれば一目瞭然です。背景のオブジェクトとアクセントカラーを一致させています。実はスタイルブックの表紙も同系色です。
下段2枚目では、ご丁寧にほんの小さく見える「ネクタイ/ベルト」と背景を一致させています。他にも"チェック/ストライプ"の細いラインと背景をあわせていたり、小物と合わせていたりとかなり念入りです。少しくどいながらも、このご時世下、とても意欲的で好感が持てます。一度馴染みのお店などで、2008-9AW と比較されると、きっと少し楽しんで頂けることと思います。
今期仕入れた少し面白い旧柄など
今期仕入れましたZegna関連の少し面白い生地としては、ゼニア正規経由でありながら、耳のないアニオナ,Agnona 生地があります。ご存知の方も多いと思うのですが、アニオナとゼニアは親族関係にあり、今ではゼニアの子会社です。
少ししか入りませんでしたが、色柄の良い新柄にも関わらず、値打ちに3種ほど入れることができました。
また、Zegna LLAMA, ラマ生地を値打ちに入れることができました。ウール混合ですが、上品で滑らかな光沢あり、ジャケット、コート用途です。気に入ってしまって入手したものの、何か当てがあるわけでもなく、一着分だけになります。
今期はやはり当店でも、グレー,千鳥格子,グレンチェックなどが、旧柄/新柄を問わず例年より多くなりました。
パターン
最後にZegna Amteprima から色柄を一部抽出してみました。グレー系の割合が高く、杢, 縮絨生地 (milled-type) が多くなっています。また、全般に柄が非常に微細でシャープなものが多くなっています。