7 pieghe とラペルピン
仕立屋はトータル・ファッションの夢を見るか
The tailor makes the Gentleman. あまり意味の良い言葉ではないようで、日本語訳は「馬子にも衣装」だそうです。テーラーに来れば一人の紳士が出来あがる、つまるところトータル・ファッションです。アンドロイドが電気羊の夢を見るかどうかは知りませんが、服飾に携わるものは大抵トータル・ファッションの夢を見るようです。ただ、増え続ける商品数に管理が追いつかず、大抵は挫折します。
つい先日、お仕立に伴って馴染みのお客様がネクタイもご希望でしたので、色々とサンプルなどをお見せしておりました。なかなかお決まりでなかったので、半年ほど前から取扱を開始していた 7 pieghe (セッテピエゲ/イタリアの芯無し七つ折ネクタイ)のオーダーをお見せしたところ、「こんなところにあった!」との嘆きを頂戴してしまいました。「こんなところに」とはなかなかなご挨拶でございます。
取扱が増えるとこういうことが起きてしまいます。特に小物類は「いつも取り扱っている」わけでもなく、面白いと思ったものをその都度、仕入れたり取り扱ったりすることが多いので、「取扱商品」として広く喧伝するわけにもいかず、ご紹介もなかなか難しいものがあります。
そこで、時々、現在の取扱の小物類を、思い出したときに掲載していこうと思います。今回はCool Bizで極端な影響を受けたネクタイと lapel pin につきまして。
オーダー・ネクタイ / 7 pieghe
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7 pieghe(セッテピエゲ)を含む手縫いオーダーネクタイの取扱を始めました。ご存知の方も既に多くお見えになると思うのですが、7 pieghe とは 7ツ折を意味し、芯を持たないイタリアの古いネクタイです。芯がありませんので、少々巻きにくくいのですが、胸元で柔らかく広がる風合いは優雅そのものです。最近若い方が好まれる細身(7cm幅)で鮮やかなネクタイとは少し方向性が異なりますが、一本もっておかれると華やか/優雅さが要求されるシーンでは重宝することと思います。
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7ツ折とはどういう状態を言うのか、私も現物を見るまではピンときませんでした。2がネクタイの中身です。本当に畳んで作ってあるところが面白いですね。7 pieghe に限らずネクタイ全般のオーダーですので、様々な指定が可能です。
1,2は裏地の指定です。1は裏地がシャツ地、2は裏地が共地です。裏地の指定が可能です。3,4は「かんぬき」の指定です(ネクタイの基本的な用語については「ネクタイ」をどうぞ)。3は糸巻きハンドかがり、4は刺繍ピラミッドです。5,6はネクタイ生地のサンプルになります。鮮やかな色合いの多いのが特徴といえるかもしれません。
価格は手縫い、オーダー、イタリア製ですので高目の部類に入ります。
種別 | 価格 |
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7 pieghe | ¥25,000 |
裏地共地 | ¥21,000 |
裏地シャツ地 | ¥19,000 |
通常(裏地キュプラ) | ¥19,000 |
項目 | 価格 |
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ハンドステッチ | ¥2,500 |
刺繍ピラミッド | ¥2,500 |
糸巻きハンドかがり | ¥2,000 |
ネーム刺繍 | ¥3,500 |
ラペル・ピン / lapel pin
stick pin
最近、テレビを見ているとラペルピンをフラワーホールに差す方が多くなっているような気がします。夏場のネクタイが廃れたことにより、ちょっとしたアクセントにラペルピンを利用される方が増えているようです。これも去年頃より扱い可能になっていたのですが、ご紹介できずそのままになっていました。Googleでラペルピンを検索したところ、24,000件も見つかりましたので、かなり遅いご紹介です。
ラペル・ピンは、下襟につける小さなアクセサリです。色々なタイプがありますが、現在一般的にラペル・ピンとして流通しているのは、右のようなスティック・ピン タイプのものが多いようです。スティック・ピンは、元々はスカーフやアスコット・タイを留める針で、先端に宝石や飾りがついたものを言います。要は元々ネクタイ留めです。
stud pin
tie tack
他に、ピン・ブローチ状のもので、スタッド・ピン(stud pin)タイプのものがあります。stud、つまり「鋲」状です。小さな針の先に宝石などがついていて、後ろを円板状のネジで留めます。これは昔からよく見かけます。これは襟に限らず胸元を飾ってもよいので、男性用小型ブローチと言うべきかもしれません。ラペルにつければラペル・ピンと呼ばれます。
タイ・タック(tie tack)タイプのものもあります。これも元はネクタイ留めの一種です。写真では鎖の先が棒状になっていますが、「輪」になっているものや、ピンと受け金がついているものなど、様々な種類があります。本来はネクタイ留めでも、下襟にアクセサリとしてつければ、とにかくラペル・ピンと呼びます。
元々はネクタイ(或いはアスコット・タイやスカーフ等)を留めるためのアクセサリ等が、ラペルを飾るものとして転用されれば、とにかくラペル・ピンと呼ばれているようです。
Cool Bizはネクタイに大きな影響を与えましたが、その後に現れたのがラペル・ピンというのは、何だか面白いものがありますね。当店が現在取り扱うのは、Stick Pin タイプのラペルピンで20種ほど、価格は¥5,000前後のものになります。