近況の御報告
多くのご注文を頂きまして真にありがとうございます
久しぶりの更新です。9月〜11月は繁忙期になってしまい、更新の頻度が減ってしまいます。今期は有り難いことに、とても多くのご注文を頂戴致しまして、いつもより少し広く間が空いてしまいました。久しぶりになりますので、今回はリハビリを兼ねて近況のご報告です。
地元雑誌に掲載されました
気がつけば当店も今年で80周年になりました。自分でも信じられないのですが、計算すると確かに80年です。そんなに長い間、営業しているとは思えませんし、こんな小さな店舗が継続できていることも不思議です。その80年間、紙媒体で紹介された記憶は一度もありません。恐らくこれが初めてです。
先代、私の父はある意味、かなり一本気な人間で、組合は地元のみに参加、業界への貢献など何処吹く風。一級技能士の資格を奨められても「切りも縫えもしない人にどうして審査されねばならんのだ、仕事に何の関係もない」などとブツブツ呟いて無視してしまうような人です。
そんな人間ですので、凡そ媒体というものには無縁極まりなく、地元雑誌とは言うものの、まさか紙媒体に当店が載ってしまうとは、あの世で何をぶつぶつ言っているのか気になるところです。今回、三重県内、津の丁子屋さん、上野のテーラー松野冨さん、松坂の仕立屋Hashimotoさんと共に紹介されました。
Nagi 凪 vol.43
とても大きな見開きです。吃驚です。仕事場をもっと片付けておくのだったと後悔しきりです。繁忙期なので仕方ないのですと言い訳させてください。仕事場については、今回他のテーラーの仕事場を見て、一点心の底から羨ましく思う点がありました。丁子屋さんの机 (裁ち台) の大きさです。
大きいものを見ると羨ましく思ってしまいます。当店のこの机 は殆ど自作です。大きな樫の一枚木を渡しただけのものですが、重くてとにかく安定します。便利が良いのですが、一枚板だけに変更できません。
このNagi誌、三重県の方でしたら、一読、かなり驚かれることと思います。私も60年この県に住んでいますものの、意外な三重の懐の深さに吃驚です。三重は東海三県でもかなり地味、関西なのか中部なのか東海なのかも判然としない鵺のような県ですが、意外です。豊かです。自慢できます。
子供服、出来ています
5歳児のスーツ
実は東京での展示会の直前に子供服が出来上がっていました。件の無意味にテーラードで手縫で紳士服地な子供服です。娘が娘なので、ネクタイまで調達して面白がってくれました。生意気にも何やらニーチェの本を片手に気取っています。
最初のものだけあって、粗も目立ちますが、まず奇麗に出来たと思います →拡大図。ただ、子供服の場合、身長が低いのでラインに曲線を出すための距離に不足します。その点、考えどころです。
3歳児のワンピース
触発されたか、妻も孫娘に服を作ったりしました。Zegna, Silk & Cotton のワンピースです。ある意味で冒涜です。三歳児に使う生地ではありません。案の定、着けて早々に絵の具をこぼしてしまい、哀れ怒られていました、…管理不行届の罪で義理の息子が。
まさか現在、ほぼ完全に紳士服と同構造/同素材の手縫いスーツや、Zegna Silk & Cotton を使った三歳児用ワンピースもなかろうと、満足しています。もし存在していたら、少し悔しく思います。という訳で、正真正銘、疑うべくもない孫馬鹿が誕生しました。
茶話会
東京で開かせて頂いた二回目の茶話会は、数名の参加者で和気あいあいと楽しく過ごさせて頂きました。同業の方であれば大抵は知っていると思われる商社さん、その銀座紳士服部門の方も交え、かなり突っ込んだ話になりました。
残念ながらAPECの大渋滞に巻き込まれて、参加頂けなかった方もありましたが、楽しく終えることができました。お集まり頂きました皆様に、厚く御礼申し上げます。内容につきましては、また更新に交えてご紹介したいと思います。
師走
もう今年も早いもので師走になりました。今年もかなり色々と新しいことが出来まして、とても楽しい一年を過ごさせて頂きました。想像もしなかった方からご注文を頂いたり、挑戦的なデザインのご注文を頂きました。また、今年は例年以上に婦人服のご注文も多く頂きました。
相変わらず、一着一着、どうしたものか、こうしたものかと頭を悩ませつつ、一年の終わりが近づいている感じです。このまま仕立屋を続けさせて頂けましたら、何とも幸甚の至りです。今回はリハビリ的な更新ということで、取り留めない近況のご報告でした。