服を畳んでボストンバッグへ
鞄の中に仕舞うには
出張の際などにスーツをボストンバッグなどに仕舞い込むにはどうすれば良いか、このようなご質問を頂きました。真にありがとうございます。スーツをボストンバッグ等に「畳んで」しまうと、普通はシワが残ってとても身につけられる状態にはなりませんけれど、比較的シワが残りにくい方法というものはあります。
今は昔、とある会社組織のテーラーで修行しておりました時に習い覚えたもので、そのように畳んで修理のスーツ等を運んだ事も多々ございますので、少しはマシな方法であると思っています。ただ、できればボストンバッグには収めないことをお勧めします。シワを回復する道具をお持ちの方は少ないですので、「どうしても」という方のみご参考にして下さい。
他にも良い方法をご存知の方がございましたら、どうぞお知らせ頂けますと幸いです。
手順
余り目にしない方法ですので、分かり辛いかもしれません。もし余りに分かりづらいようでしたら修正致しますので、どうぞ掲示板などでご指摘ください。
1.写真のように床やテーブルに置かず、手に持って下さい。 | 2.ジャケットの左袖に腕を突っ込みます。 | 3.腕を抜いて左袖の部分を裏返し、写真の様にします。 |
4.今度は右袖を持ち… | 5.裏返した左袖の中に、背中側からなるべくシワにならない様に差し入れます。 | 6.すると、半身の状態になってほぼ完全に裏返ります。左袖の中に右袖が入っています。 |
7.襟は見返しが見えるように、必ず全て伸ばして下さい。 | 8.裏はこのように見えます。 | 9.その上にズボンを二つに畳んで載せます。あとは襟の終端で二つに畳んで鞄に入れます。 |
鞄から出して元に戻す場合、ホテルの風呂場に30分程吊るしておいてから、クロゼット移し、一晩つり下げておけばシワはかなり取れている筈です。但し、梅雨時は畳まないで下さい。湿度が高いためシワが付きやすい上、非常に取り難くなります。
また、これで大丈夫だろうと言えるのは基本的に手縫いのものです。イージ・オーダーでは、心もとありません。イージ・オーダーでも芯のしっかりしたものは可能かもしれません。「特に安価なもの」の場合は絶対にしないで下さい。いざという時にシワが残っては問題がありますので、事前に試される事をお勧めします。
問題のある畳み方とポイント
必要ある場合、テーラーや販売店はジャケットやシャツをこのように両手を折った形で納品する事があります。また見栄えがしますので、雑誌や本でジャケットを平面に取る場合にしばしばこのように畳まれています。
そのため、このような畳み方で良いと思われている方も見えます。しかし、この畳み方は、「直ぐに着用すること」を前提としていたり、極一時的な場合にしか使えません。この状態で長時間放置すると見苦しいシワが付きますので、このように畳んではいけません。
腕を畳むと、肩の付け根にシワがよります。このシワは一端付いてしまうとなかなか取れない上に、着用時に非常に見苦しくなります。また肘部分を畳んで、圧迫するため、このシワも非常に取りにくくなります。テーラーには小マンジュウという、腕専用のアイロン台がありますけれど、そのようなものをお持ちの方は見えませんので、大変取りにくくなってしまいます。
ジャケットを畳む場合のコツは、なるべく折り目を頑丈な所で取る点にあります。上の方法ですと襟の終端を横切る折れ目線ができますが、ここで折れ目をとれば、最もシワが取れやすいでしょう。更に中にズボンや下着などを巻き込む事で、更に折れ目が柔らかくなり、畳んでも比較的シワが残りません。
どうでしょう、お役に立てましたでしょうか。