2011年秋冬の生地傾向 - 維持

Ermenegildo Zegna, Anteprima

昨年秋冬の通り、今現在揃ったのはZegnaとHolland & Sherryです。まずはZegnaにつきまして。

Ermenegildo Zegna
Anteprima

anteprima

全体の傾向

今期のゼニアは10AWに引き続くものです。色柄も馴染み深く懐かしいオーソドックなものが中心です。ただ、色柄は前AWに引き続きなのですが、「組織」で更に回帰的な印象を強くしています。

光沢は抑制、そもそもサージなど綾織りの提案が少なくなっており、マット風のものが多くなっています。また、起毛素材の提案が豊富です。09AWでの Milled Worsted (ミルドウース/縮絨梳毛織物) → 10AW での回帰的な色柄 → 11AWで組織も回帰、ということで「重い, 丈夫, どっしり, 暖かい, 穏やか, カントリー」そんな印象が更に強くなりました。

ただ、そのような印象ではあるものの、目付は300g/m2程度ですから、かつてほど重くがっしりしたカントリーであるわけでもありません。あくまで街着であることを前提としたものになっています。

新しいライン Two Tone

今季から新しく Two Tone ラインが増えました。後染めにも関わらずダブルフェイスのように表裏で色柄が違います。ニットのようなマットな雰囲気で起伏感があり、柔らかい素材です。混率はウール100, カシミア, カシミア混です。

冬物なので総裏が多いと思いますが、以前書きましたように(夏服と裏地の作り)、「裏地」と夏/冬服には決定的と言えるほどの結びつきはありません。秋冬にこういう遊びもなかなか悪くありません。写真では今一つ分かりにくいのですが、面白いので早々に何点か入れてしまいました。

以下はAnteprimaからの抜粋です。雰囲気がつかめましたら幸いです。生地についての大きい写真はこちらです (Jacketing / Suiting)

two tone

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suiting

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Holland & Sherry / John Cooper & Son

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今季、Zegnaについで揃ったのが Holland & Sherry、 Classic Worsted, Sherry Tweed の2バンチでした。Holland & Sherry についてご存知の方でしたら、今季 Holland & Sherry がどのようなものかご想像がつくと思います。正しくご想像の通りです。

むしろ Holland & Sherry は想像を裏切らないことを期待されているような気がします。ジャケット地の Sherry Tweed は Tweed Run のためにあるかのような生地ラインです。

ただ、今季は Holland & Sherry から、特殊なものが入手可能になりました。合併によって John Cooper & Son, 1840 Original Dobcross が Holland & Sherry 経由で入ります。

古い低速織機といえばションヘル織機が有名ですが、Dobcross織機は更に2-30年ほど古いものになります。低速織機の生地は以前にも書いたような気がしますが、繊維の縮れが良く風合いに優れます。残念ながらサンプルは無く、数量も少なく希少でもありますが、入手は可能になりました。詳細はまた機会を改めまして。

大きい写真 Classic Worsteds / Sherry Tweed

John Cooper
& Son

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classic
worsteds

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sherry tweed

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円高とカシミア素材, 一部高級素材の高止まり

流通に関して今季特徴的なこととしては、カシミア素材、その他一部高級素材や生地の品薄感と、それによる価格の高止まりがあります。昨季よりも更に顕著です。

本来、円高ですから比較的安価に入るはずなのですが、新興国の需要が増加しているため、円高は「価格上昇を抑えている」程度のことであるようです。

商社さん,問屋さんに理由を伺いますところ、特にカシミアに関しては投機的な需要さえあるとのことで、品薄感がとても強く、この程度の円高では価格が下がる可能性はかなり低いとのことでした。

2011.9.1