2010年春夏の生地傾向

柔らかく大人しい起伏感のあるもの

今年も徐々に生地が出揃ってきました。例によって当店ではZegnaが最も早くなります。今回はZegnaや既に入ってきた現物生地から見える流行傾向についてご紹介したいと思います。

今季は大まかな特徴として、質としては軽く,柔らかい風合いのもの、色柄としては淡く主張の少ないもの、起伏感/清涼感のある組織で光沢を抑制したものが多いようです。これは既に昨年の春の段階で出始めていたもので、かなり明確になってきました。また、価格低下の傾向が強くなっています。

Zegna Anteprima

スーツ生地

色としては紺/明るいグレー、柄としては繊細なグレンチェック, ウィンドウペイン, ストライプが豊富です。組織としてはシャリ感,起伏感の多い生地が多く、光沢はかなり抑制的です。また、非常に柔らかく軽い生地が多くなりました。

Code Composition Name g/m2
1820 85% Wool, 15% Silk Trofeo 600 190
1820U 85% Wool, 15% Silk Trofeo 600 190
1950 85% Wool, 15% Silk Trofeo 600 145

極端なものとしては、Trofeo 600 です。目付けが145,190 g/m2しかありません。かなり軽く控えめで、風合い優位の構造 (羽織る感覚の伊系構造) に向く生地が多くなっているように感じられます。

また、今季の特徴的な生地としては Cool Effect があります。機能性生地の一種、名前の通りいわゆる涼感生地です。

cooleffect

17μのAustralian Superfine Wool 100% を、染色/整理加工技術で、表面温度を10度下げるというものです。実際のところは仕立ててみないと分かりませんが、「真夏にダークスーツで何が悪い」を生地メーカーとして提案したくて開発したような風情があり、こういった正面切っての提案はとても好ましく思います。

Code Composition Name g/m2
166 100% Wool Cool Effect 190/200
166T 100% Wool Cool Effect 220/230
166U 100% Wool Cool Effect 190/200

ジャケット地

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muffler02

Agnona muffler

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ジャケット地も色柄,質感ともに主張の少ない柔らかい生地が多くなっています。昨年までは200以下のジャケット地が見当たりませんでしたが、こちらも200gを下回るものがあり、随分と軽くなっています。

Code Composition Name g/m2
493 48% Linen, 38% Wool, 14% Silk 190/200
9461 84% Cashmere, 16% Silk Best 600 180

色柄は更に昔に戻った雰囲気のものが多くあり、またシャツジャケットのような非構築的なジャケットに向く色柄(例えばシルクサッカーによく見られるタイプのチェックなど)が何点かあります。

今回サンプルで特徴的であったのはマフラーでしょうか。春夏のサンプルにも関わらずマフラーです。マフラー自体は既に流行していましたが、Zegnaは引き続き春夏にも提案しています。

Agnona供給です。当店でも3本だけ仕入れてみました。というより、既に売れ切れ続出で、ほとんど回ってきませんでした。素材はLinen & Cashmere などです。春向きらしく、羽のように軽く作られています。

襟のないものの上にジャケットを羽織るのは、どうしても汚れます。そのような着用をする際、襟の代わりとして使うと面白いかもしれません。

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もしゼニアサンプルブックと同一のものが必要な場合、ゼニアショップに行くより他にはないかもしれません。分かる範囲では、既に店舗在庫となっていない分量は数色×数本 というところのようです。

生地の抜粋

2010 Spring & Summer - Anteprima から抜粋しました。上半分がスーツ地、下半分がジャケット地です。

s15s50s03s05s27s28s07s29s30s31s32s33s34s47s48s49s01s02s04s12s13s23s24j01j03j04j06j08j09j10j14j15j16j18j21j23j26j27j29j30j31j32j33j34j36
2010.02.02