Zegna 2006s/s
今年の流行傾向とZegna
あるお客様に「Zegnaは嫌い?」とお尋ね頂きました。…そういえば最近、Zegnaについて書くのが等閑になっていました。別段嫌いという訳ではなく、Zegnaに関してはお客様も大変お詳しいですし、敢えて紹介する必要もないと思い、完全に手を抜いてしまっていました。
ということで、Zegnaです。流行に対する進取性が強いメーカーですので、Zegnaに見える今年の流行傾向をご紹介したく思います。今回は流行の傾向が出やすい提案型の生地を、特に取り上げてみたいと思います。
色 /青と生成り
長く自然色といえる色が豊富でしたが、今年の夏は「青」の提案が多くなっています。特にスカイブルーのような鮮やかな青が特徴的です。
特にZegnaの提案では、地の色が青ということもありますが、チェックやストライプの一部として、鮮やかな青を取り入れる生地が大変多くなっています。
勿論、自然色も豊富です。特に今年はクールビズの影響から「麻混合/綿混合/絹混合」の生地が大変多くなっています。麻混合が増えたのは嬉しいですね。
麻/綿などの植物繊維は熱組成がないため仕立屋泣かせです。麻/綿をどうやっつけるか、色々工夫のしがいがあります。
柄 /ストライプ
2.
3.
ストライプとチェックの傾向が続きます。この2-3年、ストライプやチェックの流行が長く続いています。その結果、どうやらこの流行傾向も終わりに近づいて来たようで、二系統にはっきりと分かれて来ました。
一つはストライプの存在を強調するもので、ストライプを目立たせるため、太い物や色糸を使った物が多くなってきました。1.はスタイルブックからですが、縮小した写真でもかなりしっかり見えます。
表が無地でも油断はできません。表が無地なのですが、裏がストライプというものもあります(2.)。これは大変面白い生地です。裏地を付けないタイプのジャケット、シャツジャケット、アンコンジャケットなどへの使用を想定しています。生地を柄裏地にしてしまおうという面白い発想です。
このストライプの強調で最も面白いのが、昨年から徐々に出て来ていた、3.ストライプの替え上着です。通常、替え上着の柄は「チェック/無地」と相場が決まっていました。まだ少ないですが、ストライプで替え上着というのを目にする様になって来ました。
柄 /Micro Check, Window Pane, Glen Check
この際、チェックの定義までしてしまいます。以下のチェックが非常に多くなります。
2.
- Window Pane: 窓枠の様にシンプルな格子。
- Glen Check: 経/緯糸を濃色2本、明色2本、濃色4本、明色4本で組み合わせた格子。
- Micro Check: Window Pane の格子枠が極めて小さいもの。
Micro Check それ自体は今年のZegna Anteprimaには収録されていませんが、大体1cm~3cm程度の細かい格子をさします。ゼニアでもスタイルブック以外ではかなり多くあります。
全体的にチェックの格子は、細かく繊細になる傾向にあるようです。面白いのはグレンチェック(Glen Check)の柄です。元々、Glen Checkは白黒の模様なのですが、大変カラフルになっています。
総じて
NHKラジオ第一放送だった思うのですが、今年のミラノ・コレクション(つまり来年2007年の流行予測)についての紹介がありました。欧州は現在、少々不況のようで、アナウンサーの方も「不況を反映しておとなしめ」とありました。
ヨーロッパの二大生地メーカのドーメルとゼニア、今年のスタイルブックでは、提案方法がまるで「昼と夜」の逆向きですが、提案内容それ自体は非常に良く似通っています。
流行はストライプですが、それが先鋭化されて「強調/繊細」の二系統分化、チェックも同様です。女性/男性を通して英国調の色柄が多く、一見色使いは鮮やかですが、色合い自体は穏やかなものが多い…、来年まで、このような傾向が続くように思えますね。ただ、再来年には、おそらく色柄の流行傾向も変化を来すのではないかと、何となく思っています。