品切れに見る流行 '05 02

さっぱりとした生地が

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Zegna社の2005年春夏生地がサンプルが届いたのですけれど、サンプル到着と同時に一時品切れが出ていました。右の4種類です。相変わらず早いですが、これでは早すぎます!。

右の4種は、柄2種に地の色が2種づつ(濃紺/黒)のSoltex、価格は¥80,000〜¥90,000です。これらの品切れ生地は、次回生産分となりますので、在庫に無ければ取り寄せるのに時間がかかることになります。ただ、今回も見立てが悪くなかったのか、右品切生地は既に全て仕入れることができており、大変嬉しく思っています。

これらの生地はSoltexといい、特殊加工を施したものです。写真では分かりにくいですが、全くウールらしくなく、極めてさらさらとした爽やかな生地です。去年にもSoltexはあったのですが、去年のSoltexは縦糸のみの加工でした。今年は縦横糸の両方に加工が施され、更に爽やかな風合いになっています。

ところで、今年は、このような柄物を礼服に使おうと言う動きも、ゆっくりと出てきています。

少し変わった礼服の流行

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ほんの少し前まで、結婚式と言えば「真っ黒」+「白ネクタイ」でした。お葬式と違うのはネクタイと靴下の色だけで、右も左も真っ黒でした。しかし、慶事にこれではちっとも面白くありません。特に友人として招かれた場合、もう少し遊びやシャレがあった方がきっと楽しいと思います。

夜の結婚式であればタキシードが良いのですけれど、タキシードを新調するというのも厄介ですし、まだまだ一般的ではありません。そこで、ちょっとした面白い生地を礼服としても使用する傾向が出ています。ネクタイ等を工夫することで、大変優雅にもなります。

右のジャケットには上記生地のバリエーションが使われています。このようなジャケットに、チーフを刺し、銀か白のネクタイをウィンザーノットで重ねて締めます。すると、膨らんでアスコットタイのように見えますね。このような工夫をして、結婚式に出席される方が増えています。

やっぱり、礼服はそうでなくてはいけません!。慶事なのですから、華やかにお祝いする気分をホストに示すため、友人として参加するなら尚のこと、ちょっとした工夫でシャレてみるのも悪くありません。アスコットに変えて、ちょっとしたパーティというのも良いですね。

二系統に分かれるデザイン

クラシコ・デザインもさすがに変化してきました。二系統のデザインに分かれつつあります。一つは、クラシコ・デザインの意図をそのまま先鋭化させたものです。更に細く、ゴージ(襟の切れ目)位置は上がり、腰の絞り位置も高く、とにかく重心を上に上に持っていくタイプのものですね。肩もラウンド・アップやコンケーブなど、盛り上がらせます(私は心の中でこのデザインを柊の葉っぱデザインと呼んでいます)。

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ただ、活動的なデザインは、そのままゴチャゴチャとした印象になりやすいですので、クラシコの意図を修正したものも現れてきました。細身を維持したまま、爽やかですっきりした印象に修正するデザインです。

例えば、襟です。右の写真は襟を開いた写真です。二つの襟のうち、どちらが新しく、どちらが少し前のものでしょう。左は赤い矢印のところ、ジャケットの第1ボタンの位置から膨らんでいます。これに対して、右の方は真っすぐに伸びています。

答えは…、右が新しいデザインです。左が少し前のデザインです。微妙な差なのですが、印象は随分と変わってきます。原則的には左のように外に張り出すのが正しいとされてきたのですが、真っすぐになっています。

襟を戻して並べてみると、随分印象が変わって見えませんでしょうか。襟の返りが鋭角になり、鋭くなっています。襟の返りが鋭角になるだけでも爽やかになりますが、このようにする結果、襟幅も狭く見えるようになります。

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この襟の状態で更にVゾーンを深くすることによって、落ち着いた優雅な雰囲気が加わります。更に襟の刻み位置を高くして、セミノッチにすれば、更に優雅な印象になります。

既製服などでは、差別化を図ろうとしてか、本切羽等のディティールについての宣伝をよくみます。ただ、切羽をかえただけでは余り印象に変化は生じません。

それよりも、こういったこの襟の返りに膨らみがあるか無いかと言った些細な差異、目に見えない些細な部分が、実はかえってスーツスタイルを本質的に左右してしまいます。スーツの面白いところですね。

2005.02.14