'04 09 品切れにみる流行
8月末に品切れ
ゼニア社の生地は、在庫管理が厳格であるため、人気のものはあっという間に品切れて行きます。秋冬物にも関わらず、8月の終わりには「完全品切れ」と「一時品切れ」が出てきています。
品切れてからでは遅いのですが、一時品切れの場合、まだ時間的余裕がございますので、参考にして頂ければ幸いです。
一時品切れ
一時品切れのものは全般的にビジネス・スーツに適したものが多いようです。一時品切れの場合、糸の用意がある限りは、しばらくすればまた出てきます。しかしやはり人気があるため、完全品切れになるのも、時間の問題です。
以前にもお書きしましたが、ビジネス用途における今年の生地の流行は「光沢」です。艶やかなものに非常に人気が集まっています。右は滑らかな光沢が強い生地です。光沢に加え、ストライプのはっきりした爽やかなものが非常に良く出ます。
右二つの写真は見た目は違いますが、光沢や織りは同じで、ただストライプだけが違います(生地の写真を撮るのは、なぜか酷く難しいです)。
この系統は全色仕入れたのですが、少し不思議な点があります。糸は wool 90% silk 10% の混合。サンプルでは traveller に入っています。もともと traveller は名前の通り、旅行に際しての丈夫さ、しわになりにくさを意図した生地です。しかし silk 混合であることから、触ってみても、元来の traveller ほどの丈夫さは無いと思われます。なぜ traveller のサンプルに入っているのか、ちょっと不思議です。
その他、右記のような生地が一時品切れになっています。
こちらは光沢がありませんが、ストライプ柄であるのは同じです。はっきり品切れに傾向が出ていて、面白いですね。
完全品切れ
カジュアルでは、やはり英国調への回帰とともに、アースカラー(茶色などの自然な色)が人気です。高額商品は最初から生産量が少ないために品切れが早いのかもしれません。ただ、真っ先に高額な生地から切れてところを見ると、人気の高さのため値段があまり問題となっていないと言えるかもしれませんね。
この生地はシルク-カシミア混合の少しかわった生地です。シルク-カシミア混合では強靭さには欠けますので、非常に贅沢な生地と言えます。ストレッチ素材で、非常に柔らかく伸び縮みします。抜群の着心地ですね。
価格は生地のみで ジャケット(2m) ¥140,000 前後です。完全に品切れています。
これも典型的に今年の流行を表しています。タータンチェックを模した英国風、色も少し赤みがかったアースカラー系です。この生地はウール100% (trofeo) なのですが、細番手の良い糸を使っているため、カシミアに近い柔らかい風合いを持っています。
上の生地と同様に弱いためパンツには使えず、ジャケット用の生地です。この生地も比較的高額です。生地のみで ジャケット(2m) ¥86,000前後です。これも完全に品切れています。
この生地も完全に品切れです。上記2つと雰囲気が実に良く似ています。この生地は素材が モンゴリアン カシミア 100%。極めて柔らかく贅沢な生地です。カシミアであることから、パンツには使えず、ジャケット用生地です。価格は ジャケット(2m) ¥170,000前後です。
これらの完全品切れの生地は、来年までゼニアは生産しません。糸の関係から生産できないのかもしれません。なかなか厳しいです。