ミラノの実験的ディティール
風変わりなカジュアル
知人がミラノから新しいデザインを持ち帰ってきました。かなり風変わりなディティールを取ったカジュアル・ジャケットで、ミラノでも未だ試作品の扱いだったようです。面白そうでしたので作ってみました。試作品の試作品ですね。
特徴は以下のようになります。
- 三つボタン中掛け、段返り
- エルボ・パッチ
- 大丸の裾
- 総ステッチ
- 左アウトポケット
右アウトポケット
+チェンジポケット
などなど。全般的なシルエットはあまり触ることをせず、取りうる限りのディティールを付けたものになっています。
全体のシルエットはクラシコですが、かなり英国調の雰囲気が入っています。イタリアでは一昨年くらいから、英国調を取り入れる傾向にあったようなのですが、それが段々と極まってきているような感じがします。クラシコにノーフォーク・ジャケットを混合したもの、あるいはコートを混合したもののような雰囲気と言えるかもしれません。
詰め襟 ?
かなり変わっているのが、左上襟に出た留め部分です。古くからあるデザインで、右上襟の後ろ側にボタンがあり、襟を立てて留めると詰襟状になります。
…ただ、三つボタンですから、ボタンが足りず少々頂けません。ジャケットとしての構造上、これ以上ボタンを付けるのは問題があります。そのため、これはやはり、今では純然たる遊び、あるいは緊急避難と言うものでしょうね。
右チェンジポケット+アウトポケット
また左アウトポケット+チェンジポケットという組み合わせも何とも珍しいものになっています。右の写真には、どう写真を写してもはっきりとは出ないものですから、シャープネスを掛けてあります。
このようなポケットは今まで見たことがありません。こういう遊びに関してはイタリア人の右に出る者は無いような気がします。こういうディティールの取り方は想像すらしませんでした。
基本的に、ディティールを増やせばスポーティな雰囲気、派手な雰囲気になりますが、共生地を使いますので嫌みにはならず、意外とエレガントです。
ただ、この試作品はちょっと大人しく作りすぎてしまいました。共生地にしないなど、もっと遊んでしまえば良かったと、少し後悔おりますけれど、なかなか気に入っています。