流行の移り変わりと予測3
流行の移り変わりと予測3
デザイン画を並べてみるとなかなか壮観ですね。私も今までしたことがありませんでした。順序は左から「旧→新」。
まずは襟に着目して下さい。襟の長さはどうなっているでしょうか。襟の長さが徐々に長くなっていき、真ん中(約15〜20年前)をピークに短くなっていきます。それが右から二つ目(約5〜10年前)に至って短さのピークです。そして一番右端(5年前から)また長くなっています。
次に襟のゴージ位置(襟の刻目)はどうでしょう。襟の長さが変わっているにも関わらず、一貫して短くなっていないでしょうか。襟のゴージ位置が高くなると上部に重心が移ります。右から二番目と一番右では襟の長さがずいぶん違いますが、ゴージ位置はほとんど変わりません。限界まで上に来たまま動いていません。一番右端と一番左端では、襟の長さはほとんど同じです。しかしゴージ位置は違います。このゴージ位置が違うだけで、随分と印象は変わりません?
肩幅と裾幅のバランス
肩幅と裾幅のバランスにも着目して下さい。この旧い右3つ(約20〜25年前/15〜20年前/10〜15年前)では肩幅と裾幅は、それぞれ肩幅の方が裾幅よりも広くなっています。
これはちょうど全体的に逆三角形の形をしていないでしょうか。この形はもともとアメリカで流行ったもので、景気が良い頃のアメリカでは、これがパワースーツとも呼ばれていました。
この服のデザインをイタリア人が真似しようとしたんですが、体が小さいイタリア人がアメリカからこれを持ってきて身に付けると、寝間着でも来たようなダボダボの服になります。これをサイズ的に合わせてデザインを正面から採用したのが「アルマーニ」。丁度日本のバブル絶頂期、10年程前のイタリアスーツのデザインです。
これに対して、この三つ(約25〜30年前/5〜10年前/5年前から今)では、肩幅と裾幅はほぼ同じ幅となっています。これは丁度全体的に四角、棒状の服です。いわゆる英スティック(棒)スーツ、伊クラシコ(伝統的、由緒ある)と呼ばれるデザインはこれになります。
上の逆三角形はアメリカデザインが元になっていますが、こちらは欧州のもともとのデザインと言えるでしょうね。
では最後にこれから5年の流行を予測すると、
- 襟は長くなる可能性がある
- ゴージ位置は低くなるか維持されるかどちらか
- 全体的なシルエットはもう5年ほどクラシコ
- 或は逆に婦人服で言うAライン(裾幅の方が広いピエール・カルダンの様なデザイン)
このように言えるのではないでしょうか。