ソフト帽
いわゆるボルサリーノ(Borsalino)
前回に引き続き、当店取り扱いの商品につきまして。今回は、少し調子に乗ってしまいまして、店主の写真が多くなります。真にお目汚しですが、どうぞご笑覧ください。
もうほとんど思い出せませんものの、昔々の1969年、「ボルサリーノ」という映画がありました。ジャン=ポール・ベルモンドとアラン=ドロンが共演する無闇と色男な映画です。これで一気に有名になった帽子が、いわゆるボルサリーノです。
主人公二人が暗黒街でのし上がり、最後に被るのがこの帽子。元々ボルサリーノはイタリアに実在するブランドだそうで、要はCenter Dent型のソフト・ハット、ソフト帽です。
ソフト帽、何だか良い響きですね。禁酒法時代のアメリカを舞台にした映画(Sting,Untouchable)、チャンドラーのようなハードボイルド、翻訳もの推理小説といった趣があります。
当店取り扱いの帽子はボルサリーノ社のものではなく、イタリア-フィレンツェの “Tesi”です。創業1,850年の老舗メーカーで、Center Dentのものが定番です。
こういうのを見てみてしまうと、色々と合わせてみたくなるのが人情というものです。ということで、やってしまいました。
いろいろ合わせてみる
黒尽くめ、いわゆるカラスで合わせてみました。ジャケットがシルク混のため、また豪雨の後ということもあって、少々ヨレが目立つところ、非常に気になりますが、どうぞご容赦ください。
何というか、これはこれで悪くないような気がしますが、…ただ、どうも気障を通り越して少々危ない感じがします。道行く人が避けてくれそうな危なさです。ただ、自分としては気に入りましたので、今度の東京行きでは着ていってやろうかと、ちょっと考えています。
次はカジュアル・ジャケットにジーンズ、イタリアン・シャツでざっくりと。本来、ボルサリーノ型は富裕層の象徴でもある帽子ですから、こういう付け方はしないものですが、最近の流行傾向である Dress Down の考え方にのってみました。
どうせ乗るなら徹底的にと、完全にラフにも合わせてみました。ここまで来ると、これもやっぱりどうにも危険なにおいがします。道行く人が避けてくれそうな種類の雰囲気です。このまま薄暗い賭場で、バーボンなんぞを煽ってポーカーをしても、きっと場違いじゃない気がします。
こういう付け方をする場合、若い方の場合は、やはり「時計仕掛けのオレンジ」のように、英国の山高帽(Bowler hat)をMods風にというのが良いかもしれませんね。あるいはクリスティのポアロのように、正当にきっちり付けるのも悪くありません。山高帽は持ち合わせがないのですが、マグリットの絵が非常にわかりやすいように思います (マグリット「男の息子」)。
この帽子、久方ぶりに非常に楽しめました。かなり身につけるのは度胸が必要ですが、いざ付けてしまえば気楽なものです。撮影中、道行く人が笑いかけてくれましたが、きっとそれは「好意的なものである」と私は信じてます。ええ、信じていますとも。
詳細
当店取り扱いの品目は以下になります。
Color | Composition | Size | price |
---|---|---|---|
Daino | Lapin Far Felt 兎毛 |
S57cm M59cm L61cm |
¥29,400 |
Antrazit | |||
Medium Gray | |||
Pearl | |||
Black | |||
Catrame | |||
Navy |
ただし、一つだけ問題がありまして、まだ一点も仕入れておらず、現在はカタログのみとなっております。秋冬のご提案用にしようと思っていたのですが、先走ってのご紹介でした。