Tailor KASUKABE
ご無沙汰をしております。今期も無事に展示会の準備や生地の手当てがおりました。今季は、少し面白いサンプルを作りました。展示会やウェブサイトでご紹介する前に店頭展示していたところ、望外に好評をいただきまして、もう生地の残りが少なくなってしまいましたが、是非、ご覧いただけましたら幸いです。
今期の生地は各社ともに「境界を狙う」ような生地が多くなっています。ライフスタイル優位の快適さや、用途に特化した生地の提案が多いのは昨年の通りなのですが、「カジュアル / ビジネス」の境界を曖昧にするような生地、「豪奢品 / 高級品」の境界を壊すような生地が多くなっています。
例えば Zegna では Trofeo からウールデニムが出ています。Traveller ではなく比較的高価格帯の Trofeo "なのに" デニムというところに、境界線に攻め込んでいるという感じがとてもします。
この生地はとても気に入っていたので、数着分仕入れて置いたのですが、店頭に置いた数日のうちにご注文を立て続けに頂いてしまい、現物の残量は若干量の1着分となります (サンプル取りはもちろん可能です)。
また、生地組織でもジャカードをスーツ地に使うものが現れました。ジャカードは紋織物で、服の表地に使うことは非常に少なく、稀にファンシータキシードと呼ばれるジャンルに使われることがある程度でした。これを抑制を効かせつつスーツ地として提案するメーカーも出てきました。メーカーは Scabal です。これもジャンルの際を狙った感じがします。これら生地は現物としてお持ちいたします。
今季は境界的な生地提案が新柄で豊富で、むしろ定番の大人しい生地が少なめでした。そこで、提案が薄くなっている逆向きの生地を、多く現物としてお持ちします。
定番的な色柄/組織の生地ですが、素材に話題性のあるものを中心に揃えました。アラシャン・カシミア、梳毛カシミア、エスコリアルなど、本来は殆ど恐ろしいレベルの価格のものですが、提案が薄くなっていることもあり、かなり値頃に (ほとんど不可解なほどの価格で) 仕入れることができました。一度、ご覧いただけましたら幸いです。
また、少し変わった記事では、ベビーキャメルの生地をお持ちします。カシミアの品質による価格差が非常に大きくなっているためか、キャメルを提案するメーカーが出てきました。かつてキャメル(ふたこぶラクダ)生地は、さほど高級品としては扱われていませんでしたが、毛足の長く柔らかいベビーキャメルは今も昔も高級品です。
お持ちするのはイタリア Piacenza 、カシミアをほぼ専門的に扱うメーカーです。このキャメル生地をお持ちします。この生地はとても気に入って、現物を一反で購入してしまいました。小さいお店にも関わらず一反で購入したのですが、予想以上に人気が高く、立て続けにご注文を頂戴してしまい、既にもう1着分しかありません。こちらはサンプル取りが難しく、イタリア直送(エアー) になりますので、ぜひご覧いただけましたら幸いです。
新柄生地としてお持ちするサンプルは例年通りです。Ermenegildo Zenga, Scabal, 三星毛糸, 葛利毛織は全新柄サンプルをお持ちします。 Loropiana, Dormeuil などは一部となります。また、今年より御幸毛織の提案が復活しました。全新柄サンプルをお持ちいたします。
2017-09-09